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材料中の析出物の形状についての考察およびその発展

2.球と立方体のあいだの形状の析出物を含む合金:電子顕微鏡観察の結果

 微量のCoとCrを含むCuの合金を適当な条件で熱処理をすると,Co-Cr合金析出物がCu母相中に出現する.下に示した透過型電子顕微鏡写真はこのCo-Cr合金の析出物を示しているが,いろいろな方向から観察した結果,それらの形状は球と{100}面で構成される立方体のあいだの形状になっていることがわかった.

 さらに,この写真をよく見ると,寸法の小さな析出物の形状が球形に近いのに対して,寸法が大きくなるほど立方体に近い形状になっていることに気付く.粒子寸法依存性も含めて,このような形状の析出物は,超合金と呼ばれる実用的に重要なNi基の超耐熱構造用合金中にも含まれていることが知られている.

では,何故,析出物はこのような形状になるのであろうか?

 Cu母相中の微細なCo-Cr合金析出物を示す電子顕微鏡写真