高強度・高導電性銅基合金の強化機構

Fig3a
図3 Cu-Cr合金中のCrナノ粒子の高分解能透過電子顕微鏡像(a)と,(a)からデジタル画像解析により得られたモアレ像(b)-(d).CuとCrとで結晶構造が異なるものの,格子の連続性が保たれている.

 金属材料中にナノサイズの析出粒子を分散させると材料の強度が増すことはよく知られていることです.導電性材料として広く用いられている銅合金においては,合金強度が高いことと,電気伝導度が高いことの二つの性質を併せ持つことが要求されます.この二つの性質は,一般には相反し,合金強度を高めようとす ると,電気伝導度が下がってしまい,逆に電気伝導度を高く維持しようとすると合金強度が下がってしまいます.すでに実用化されている合金,たとえばCu- Cr-Zr合金やCu-Ni-Si合金でも,今なお高性能化が要求されています.
 藤居研究室では,モデル合金を用いた研究を行い,強化機構(析出強化や分散強化)を基礎的に理解しようとしています.この結果をもとに最適な高強度化技術を提案し,実用合金の設計にフィードバックさせることが目的です.